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315プロダクションのPになって救われた人の話

はじめに

この文章は2023年4月4日に報じられた、アイドルマスター SideM GROWING STARS(以下サイスタ)の「重大なお知らせ」を受けていちプロデューサーが書いたお気持ち文章です。まとまりもなければオチもありません。ただただ、自分語りと思考の整理を行いたいだけの文章でありますが、自分の心のスナップショットを撮るために筆をとりたいと思いました。

ここに書くのは個人の感想で押し付けるようなものはありません。その点どうかご認識願います。

私は

315プロダクション(以下315プロ)のいちプロデューサー(以下P)です。2021年夏に公開されたVOY@GERをきっかけに315プロという存在を知り、サイスタにてプロデューサーになりました。その後ソーシャルゲームアイドルマスターSideM(以下モバエム)を通り、アイドルマスターポップリンクス(以下ポプマス)も通り、その二つのサービス終了を看取り、今に至ります。Pとしての活動(モバエム)は過去記事にいくつか記載をしております。

担当は硲道夫さん及びS.E.Mです。自分のできる範囲でグッズを買い、ライブを(配信ではありますが)視聴し、ゲームに課金しておりました。

細々と同人活動もしておりますが、ここでは割愛します。

2021年の私

私は療養中の身です。2018年頃に前職でのいろいろを引き金に双極性障害を患い、以降躁と鬱を繰り返し、認知機能障害もある、といった状態です。ここで書くこと以外の詳細は伏せますが、所謂障害者手帳を所持するような状態です。

アイドルマスターSideM(以下SideM)に出会った2021年は鬱が一番ひどい状態であったと記憶しています。正確な理由は今となってはわかりませんが、身辺の様々な環境要因があったような気もしております。もともと調子が良いときなどあまりありませんでしたが、ほとんど寝たきりで希死念慮を抱き何か動くならば自殺未遂を行なっていました。これ以外の詳細はあまり覚えていませんが医者にも入院しますかと何度か訊かれたことは覚えております。

SideMとの出会い

TwitterのトレンドにVOY@GERという文言が載った時だと思います。スタジオカラーがそのMVに参加していて、冒頭の天海春香さんの顔がエヴァ碇シンジくんの面影を残していたから、という今となってはなんともな理由で私はこれを観ました。

そして観終えた後しずかに泣きました。特別なにか劇的なものがあったわけではないのですが、画面の中のアイドルが生きている、そんな感想を覚えました。当時死ぬことばかり考えていたので、人が生きている、その生のふちに触れるのが、とてももの珍しかったのです。

どの事務所の子も魅力的ではあったのですが、とっかかりとして、フォロワーさんがSideMの Pさんだったのもあり、VOY@GERの全員歌唱版とSideM版を購入し、ベストアルバム「THE IDOLM@STER SideM ST@RTING LINE -BEST」を併せて購入しました。スマホゲームにもなっていますよ、と教えてくださったのですが、インストールしたのがアイドルマスター SideM LIVE ON ST@GE!のサービス終了前日だったのでそのまま何もせずに終わりました。

私に深い感動を与えたものの、もともと(創作などは)コンシューマーゲームのオタクで、あまり男性がたくさんでてくるコンテンツにハマったこともないので(龍が如くはありますが、それは違うってことで)、これ以上特にハマることはないと思っていました。しかし、スマホゲージャンキーでもあった(寝たきりはスマホゲーしかできないのである)ので、再来月に出るらしいサイスタは触ってみようと思い、(モバエムは良いゲームですがガシャ渋いので勧め辛く、とフォロワーさんに言われたのもあり触りませんでした)そのまま約一ヶ月を過ごすことになります。

その間曲を視聴しました。特にこれまでアニソンなどに触れたことがないので、そこは異文化でした。どれにハマるということはなかったのですが、耳に残るフレーズ。何かをメッセージを伝えようとしている。ということは伝わってきました。しかし、VOY@GERほどの衝撃はなかったというのが本音でした。当時は顔も名前も知らない人ばかりで、且つこれ以上主体的に何かを知ろうとも思っていませんでした。(最初から強いメッセージがあるだろう、という意見もあるとおもいますが、あくまでも私はそうでした。いわゆるこういったコンテンツに触れてこなかったので何よりもまずその曲の印象に触れるところから始まったのです)

サイスタがリリースされた

来る2021/10/6、サイスタがリリースされます。サイスタは音ゲーとのことで、ちょいちょい音ゲーはプレイしていたので、その枠に入るかしら、くらいの気持ちで開始します。最初のプロローグで、私はファンではなくプロデューサーであるのだ、ということを知ります。もともとそれくらいの解像度でした。VOY@GERのMVで最後に春香さんがこちらにむけた笑顔を思い出しました。そこから私はアイドルを「プロデュースする」という行為を行なっていくことになります。

最初に思ったのは「アイドルは私のことを女性扱いしていないのだ」ということでした。これは偏見になりますが、当時、男性がたくさん出てくるゲームは所謂乙女ゲーのように女性扱いをされるものなのだと思っていました。私がそれが苦手で、故にこういったコンテンツに手を出すことはなかったのです。315プロにいる「私」は「プロデューサー」で彼らは志を共にする仲間なのである、と。

そこを切り口に、サイスタを続け、そしてそれから程なくしてモバエムを開始し、その二つの切り口から私は彼らをプロデュースしていきました。

SideMで得た体験

ゲームをプレイするという行為を通じて彼らの人となりを知り、そして彼らの仕事を一緒に取り組む。SideM及びアイマスはゲームをするというのが行動の動機となっていますが、これって(この一連の流れは)実際の仕事と同じですよね。もちろん現実の仕事は嫌なことが多いし、ポチポチゲームしていれば良いわけではないし、何より優しい世界の315プロダクションとはかけ離れていますが。前述の通り仕事のあれこれで病を患ったのもあり、この優しい世界で仕事をするという体験を私は(いいすぎかもしれませんが)得ることになります。どこかの知らない世界ではこんな働き方もあったのかもしれない。そんな不思議な体験でした。きっと、病に罹る前の私であれば、新しい環境を目指して倒れることはなかったのだろうな、ともおもいます。

そしてアイドルの彼らを知ることで相乗効果のようにアイドルの楽曲のそのメッセージ性を浴びることになります。ゲームを通して、「理由あってアイドル」の「理由」を知る。もともと何かを伝えようとしていたのは伝わっていましたが、その解像度がぐっと上がったのがこのゲーム体験でした。「彼ら」が歌うからこの詞ひとつひとつの言葉に言霊が宿る。

ゲームを通して、アイドルと共に仕事をする。その成果としてCDやライブ、プロミなどがある。ステージに立っているのは実際は声のお仕事をしている方々だけれども、そこにいるのはアイドルのみなさんである。

私は、気がつけばプロデューサーになっていました。

私の変化

端的にいうと自殺企図をしなくなり、寝たきりもなくなり、少しずつですが家のことであるとか、Todoをこなせるようになってきました。起き上がってこうやって文章を書くこともできるようになりました(前から文章は書いてましたが、寝たきりで書いてました)。もちろん良い時ばかりではありませんが、上向いていっている(躁状態ではなく)のが、主観的にも、客観的にもわかる状態になっています。

人にもよるのかもしれませんが、なかなかこういった病気は希望というのをもちにくいものであります。正確な話ではありません。これは主観の話です。という前提で……その人の精神状態がそうさせる、というのはあるのですが、その人の不調が原因で行えることが減っていく故に成功体験を得ることが難しいのでは考えます(あくまでも自分がそうだった、という話と主観です)。

少しずつ、SideMが生きる希望になりました。プロデュースをするという体験を得ました。様々なバックボーンを持つアイドルが発するメッセージ(特にS.E.Mから受け取ったものが多いのですが、ここでは割愛します)に何度も勇気づけられました。彼らの近くで仕事をみなければ、と思い彼らの仕事の成果を見るその次までは生きていようとそう願うようになりました。

アイドルとの関わりを通して、自分はまだここにいて良いのだ、と思い。そのためには元気になってライブだとかにも参戦したい、という原動力にもなりました。もともと夢女気質ということもあり(所謂夢女子という話ではなく、コンテンツに自己を滑り込ませがちという話です)、プロデュースをするためにはもうすこしできるようになることを増やしたいと考えるようになりました。胸を張れるプロデューサーになろうと。

こう思えたのも私がファンではなく(ファンの側面はもちろんありますが)、プロデューサーとしてコンテンツに存在することができたからだ、と自己分析します。

もちろん家族や周りの人のサポートによるものもあります。しかしこのアイドルマスターSideMが私の生きる理由のひとつになったのは間違いありません。

今回のお知らせをうけて

ネガティブなことをここでたくさんは書きたくないので、一言だけ。人によって解釈はあると思いますが。

ユーザーはファンだけではなくプロデューサーであり、プロデュースをするということは、コンテンツの関わり方として動画やテキストライブグッズCDなどだけではなく、インタラクティブなものである。

ということです。私はプロデューサーはただ提供されるものだけを咀嚼するものではない、という認識をしています。こちらからのアクションがあってこそのプロデュースであると考えています。従って、そういう機会は奪われないコンテンツになってほしいな、と私は思います。

最後に

長い自己語りをお読みいただきありがとうございました。アイドルをプロデュースするという行為が、自分の体調や環境に変化をもたらし、生きる希望を持たせ救われている。そんないちPがいるということを今ここに書き綴らせて頂きました。
本当にオチはないのですが、これからも長く生きる、そしてプロデュースをさせてくれるようなコンテンツになってくれることを強く願います。